投資物件売却

2026年08月21日

投資物件を売却する前に整理したいこと

利回り・税金・手取りから「売る・持つ」を判断

 

投資物件売却|売る・持つを比較

投資用マンションや一棟アパート、賃貸中の戸建てなどを所有していると、「今なら売った方がいいのでは」「家賃は入っているけれど、このまま持ち続けていいのか」と考える場面があります。

 

投資物件の売却で最初に確認したいのは、査定価格だけではありません。

 

現在どれだけ収益を生んでいるのか。今後どれだけ費用がかかるのか。今売却した場合はいくら手元に残るのか。

この3つを同じ土俵に並べることで、初めて「売る」と「持つ」を比較できます。

 

『College Chronicle』では、投資物件の売却を急いで結論づけるのではなく、現在の状況を整理し、比較したうえで判断する考え方を解説します。

投資物件の売却は「いくらで売れるか」だけでは決められない

一般の住宅と投資物件では、買主が確認するポイントが少し異なります。

 

投資物件を購入する投資家は、立地や築年数、建物状態だけでなく、その不動産から将来どの程度の収益を得られるのかを確認します。

 

国土交通省の不動産鑑定評価基準でも、不動産が将来生み出す純収益をもとに価格を求める「収益還元法」が位置付けられています。

 

直接還元法を単純化すると、基本的な考え方は、

 

収益価格=一期間の純収益÷還元利回り

 

となります。

 

ただし、実際の売却価格がこの計算だけで決まるわけではありません。

 

現在の家賃、空室率、築年数、管理状態、修繕履歴、土地価格、周辺の取引状況、将来の賃料、買主側の融資条件など、さまざまな要素が関係します。

だからこそ、投資物件では査定額そのものだけではなく、「なぜその査定額になるのか」まで確認することが重要です。

まず現在の「本当の収益」を整理する

例えば家賃が月10万円なら、年間家賃収入は120万円です。

 

しかし、120万円すべてが利益として残るわけではありません。

 

管理費、修繕費、固定資産税、火災保険料、入退去に伴う費用、募集費用、設備交換、空室期間などがあります。

 

一棟物件なら、共用部分の電気代や清掃費、設備点検、大規模修繕なども考える必要があります。

 

そのため売却を検討するときは表面上の家賃だけではなく、実際に年間いくら残っているのかを確認する必要があります。

 

表面利回りは一般的に、

年間賃料収入÷物件価格×100

で計算します。

 

一方、実際の投資判断では、運営経費を差し引いた純収益も重要です。

「利回り8%だから良い物件」というだけでは判断できません。

年間の家賃収入が高くても、修繕や管理に多くの費用が必要であれば、実際の収益力は表面上の数字ほど高くない可能性があります。

投資物件の家賃・経費・収益・価値を整理

満室・空室と現在価格を一緒に見る

投資物件では、満室だから必ず高く売れる、空室だから売れないとは限りません。

 

満室でも現在の賃料が周辺相場より低ければ、買主は将来の収益性を慎重に確認します。反対に空室があっても、賃料設定や募集条件を見直すことで改善できる余地があれば、評価される場合があります。

 

そのため確認したいのは、現在賃料、周辺賃料、契約内容、入居期間、空室期間、募集状況です。入居率だけではなく、その物件が今後どの程度の収益を生み出せるのかまで整理します。

 

あわせて確認したいのが、現在の売却価格です。

 

不動産取引価格や成約価格、地価公示などを確認できます。ただし、実際の査定価格は築年数、建物状態、収益性、管理状況などによって異なります。

 

大切なのは、「満室か空室か」だけでも「査定額」だけでも判断しないことです。

 

現在の収益と現在価格を並べることで、初めて「今売る場合」と「このまま持ち続ける場合」を比較しやすくなります。

 

今の投資物件、いくらくらい?

「売る」と決める前でも、現在価格を知ることはできます。

今の価格を把握しておけば、売却する場合と保有を続ける場合を数字で比較しやすくなります。

 

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投資物件は「売却価格」より「手取り」を見る

例えば投資物件を3,000万円で売却できたとしても、その3,000万円がそのまま手元に残るわけではありません。売却には仲介手数料などの費用がかかり、ローンが残っていれば残債の返済も必要です。さらに、譲渡所得が発生する場合は税金も考える必要があります。

 

資金面では、想定売却価格-売却に必要な費用-ローン残債-売却に伴う税負担等=売却後の手取り概算という順番で整理すると分かりやすくなります。

 

重要なのは、「3,000万円で売れるか」ではなく、「売却したあとに最終的にいくら残るのか」です。

投資物件売却の手取り計算を整理

投資物件売却で特に確認したい「減価償却」

個人が土地や建物を売却した場合、譲渡所得は原則として、譲渡価額-取得費-譲渡費用-適用できる特別控除額を基礎として計算します。

 

投資物件で特に注意したいのが建物部分の取得費です。建物の取得費は購入時の建物価格をそのまま使うわけではなく、国税庁では、建物の購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算するとしています。事業に使用していた建物の場合は、取得してから売却するまでの減価償却費の合計額が関係します。

 

そのため、「買った価格と同じくらいで売れたから、ほとんど利益はない」とは限りません。減価償却によって建物の取得費が低くなっていれば、想像していたより譲渡所得が大きくなる可能性があります。投資物件の税金は、購入価格と売却価格だけでは判断できない点に注意が必要です。

2026年に売却するなら「5年」の数え方にも注意

個人が土地や建物を売却した場合、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。

ここでいう5年は、単純に購入日から売却日まで5年間経過したかどうかではありません。

 

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかで判断します。

 

2026年中に売却する場合、国税庁の案内では、

2020年12月31日以前に取得した土地・建物=長期譲渡所得

2021年1月1日以後に取得した土地・建物=短期譲渡所得

となります。

 

原則税率は、長期譲渡所得が所得税15%、住民税5%、短期譲渡所得が所得税30%、住民税9%です。

所得税には復興特別所得税が加算されるため、一般的な合計税率では、

 

長期譲渡所得 20.315%

短期譲渡所得 39.63%

となります。

 

所有期間が5年前後の物件では、売却時期によって税負担に大きな違いが生じる可能性があります。

 

なお、これは個人所有の場合の原則的な説明です。

 

法人所有の場合は税務上の取扱いが異なります。また、取得経緯や物件の利用状況などによっても異なるため、具体的な税額については税理士や所轄税務署等への確認が必要です。

譲渡費用になるもの、ならないものも整理する

税金を考えるときは、「売却に関係して支払ったものなら全部差し引ける」と考えないことも重要です。

 

国税庁では、譲渡費用について土地や建物を売るために直接かかった費用としています。

 

代表的なものとして、仲介手数料、売買契約書に係る売主負担の印紙税、一定の立退料、売却のための建物取壊し費用などがあります。

 

一方、通常の修繕費や固定資産税など、資産を維持・管理するための費用は原則として譲渡費用には含まれません。

 

査定額ではなく「売ったあと」を整理したい方へ

投資物件は、査定価格だけでは売却判断ができません。

現在の収益、ローン残高、取得費、減価償却、売却費用などを整理すると、

売却した場合にどの程度の資金が残りそうなのかが見えやすくなります。

 

「まだ売ると決めていない」
「税金やローンも含めて整理したい」
「売却と保有を比較してみたい」

 

という段階からご相談いただけます。

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売却前に整理しておきたい資料

査定価格が一番高い会社を選べばいいとは限らない

複数の不動産会社へ査定を依頼すると、査定価格に差が出ることがあります。ここで確認したいのは、一番高い査定額ではなく、**「なぜ、その価格なのか」**です。現在の賃料をいくらで計算しているのか、どの程度の経費を見込んでいるのか、どの利回りを前提としているのか、土地や建物をどのように評価しているのか、周辺の取引事例と比較してどうなのか。こうした根拠まで確認することが重要です。

 

査定価格は売却価格そのものではありません。その価格をもとに、どのような販売方法や売却戦略を考えているのかまで確認しましょう。

 

「今売る」と「持ち続ける」を同じ数字で比べる

 

投資物件売却の最終判断では、今売った場合の手取りと、保有を続けた場合の将来収益を同じ数字で比べることが重要です。

 

仮に今売却すると、ローンや費用、税金などを整理したあとに2,000万円が手元に残るとします。一方、このまま保有すれば毎年100万円程度の収益が残るとしても、100万円×20年=2,000万円だから持ち続ければいいと単純には判断できません。

 

今後は空室や賃料下落、給湯器、外壁、防水、エレベーターなどの修繕費が発生する可能性があります。反対に、ローン返済が進みながら家賃収入を得られることや、将来的に売却できる不動産を保有し続けるメリットもあります。

 

そこで比較したいのが、今売った場合の手取りと、今後得られると考えられる収益+将来の売却価値-今後必要になる費用です。将来の家賃や売却価格を正確に予測することはできないため、一つの数字で断定するのではなく、条件を変えながら複数のケースで比較することが現実的です。

投資物件を売るか持つか比較図

投資物件に「築何年なら売る」という共通の正解はない

「築20年になったら売却した方がいい」「利回りが何%以下なら売った方がいい」といった一つの数字だけで、すべての投資物件を判断することはできません。同じ築年数でも立地や建物状態は異なり、同じ表面利回りでも必要な経費は変わります。同じ3,000万円で売却できる物件でも、ローン残高、取得費、減価償却の状況によって手元に残る金額は違います。

 

だからこそ、投資物件の売却では「整理→比較→判断」の順番が大切です。売却すると決めてから査定するのではなく、まず現在の収益や売却価格、ローン残高、税金、今後の費用を整理し、その結果として「売る」「もう少し持つ」「資産を組み替える」と判断していきます。

迷っている今が大事、投資物件は「売った後」まで考える

投資物件を売却するとき、最初に気になるのは「いくらで売れるのか」でしょう。もちろん売却価格は重要ですが、投資物件ではその先まで確認する必要があります。

 

現在どれだけ収益を生んでいるのか、今後どれだけ費用が必要になる可能性があるのか、売却した場合にローン、売却費用、税金などを整理したあとでいくら手元に残るのか、そしてその資金を次にどう使うのか。ここまで整理すると、**「今売却する意味」**が見えやすくなります。

 

反対に、数字を整理した結果、「今は売らずに持っておこう」という判断になることもあります。それも一つの答えです。

 

売るか迷っている段階から整理できます

株式会社Courageでは、投資物件を売ることだけを前提にせず、

現在価格、収益、ローン残高、売却後の手取り、保有を続ける場合を比較しながら整理するご相談

に対応しています。

 

「今売ったらいくらになる?」

「このまま持っていた方がいい?」

「売却すると、どれくらい手元に残りそう?」

 

まだ売却すると決めていない段階でも大丈夫です。

まず現在価格を確認する

 

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売却・保有について相談する

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投資物件の売却で迷ったときに確認したいQ&A|利回り・税金・手取り・売却時期を整理

Q1. 投資物件は利回りが何%まで下がったら売却した方がいいですか?

A. 「利回りが何%以下なら売却」という共通の基準はありません。 投資物件では表面利回りだけを見るのではなく、家賃収入から管理費、修繕費、固定資産税、火災保険料、入退去費用、募集費用、設備交換費用、空室による損失などを考慮し、実際に年間いくら残っているのかを確認する必要があります。例えば表面利回りが8%でも、修繕や管理に多くの費用がかかっていれば、実際の収益力は数字ほど高くない可能性があります。売却を検討するときは「利回りが下がったから売る」と決めるのではなく、現在の純収益、今後必要になる費用、現在の売却価格を並べ、保有を続けた場合と売却した場合のどちらが自分の資産運用に合っているかを比較することが重要です。

 

Q2. 投資物件は満室のうちに売却した方が高く売れますか?

A. 満室だから必ず高く売れるわけではなく、空室があるから売れないわけでもありません。 投資物件を購入する側は現在の入居率だけでなく、その家賃が周辺相場と比べて適正なのか、契約内容や入居期間はどうなっているのか、今後も同程度の収益を期待できるのかまで確認します。満室でも賃料が周辺相場より低ければ将来の収益性を慎重に評価されることがあり、反対に空室があっても賃料設定や募集条件を見直す余地があれば評価される場合があります。売却前には現在賃料、周辺賃料、契約内容、入居期間、空室期間、募集状況を整理し、現在の売却価格と合わせて確認することで「満室だから今売る」「空室だから売れない」という単純な判断を避けられます。

 

Q3. 投資物件を3,000万円で売却したら、手元にはいくら残りますか?

A. 3,000万円で売却できても、3,000万円がそのまま手元に残るわけではありません。 売却後の手取りを考えるときは、想定売却価格から売却に必要な費用、ローン残債、売却に伴う税負担などを整理します。例えばローンが残っていれば売却代金から返済する必要があり、仲介手数料などの売却費用も発生します。さらに譲渡所得が生じれば税金も考慮する必要があります。投資物件では「いくらで売れるか」と「売ったあとにいくら残るか」は別の数字です。そのため査定価格だけを比較するのではなく、ローン残高、取得費、減価償却、売却費用などを確認し、最終的な手取り額まで試算してから売却を判断することが重要です。

 

Q4. 投資物件を購入した金額と同じくらいで売れば税金はほとんどかかりませんか?

A. 購入価格と同程度で売却したからといって、譲渡所得がほとんど発生しないとは限りません。 個人が土地や建物を売却した場合、譲渡所得は原則として譲渡価額から取得費、譲渡費用、適用できる特別控除額をもとに計算します。特に投資物件の建物部分では減価償却に注意が必要です。建物の取得費は購入時の建物価格をそのまま使うわけではなく、所有期間中の減価償却費相当額が関係します。その結果、減価償却によって取得費が低くなっていれば、購入価格と売却価格が近くても想定より譲渡所得が大きくなる可能性があります。投資物件の税金は「いくらで買って、いくらで売ったか」だけでは判断せず、取得費と減価償却まで確認する必要があります。

 

Q5. 投資物件は築何年で売却するのがいいですか?

A. 「築20年になったら売る」など、築年数だけで決められる共通の正解はありません。 同じ築年数でも立地、建物状態、現在の賃料、管理状況、修繕履歴、ローン残高は異なり、同じ売却価格でも取得費や減価償却の状況によって売却後に残る金額は変わります。判断するときは、今売った場合の手取りと、保有を続けた場合に得られると考えられる収益に将来の売却価値を加え、今後必要になる費用を考慮した数字を比較します。ただし将来の家賃や売却価格を正確に予測することはできないため、一つの予測だけで結論を出さず、空室、賃料下落、修繕など複数のケースを想定して比較することが現実的です。投資物件の売却は「築年数で決める」のではなく、「現在の収益、現在価格、ローン、税金、今後の費用を整理してから決める」という順番が重要です。

投資物件は「売る」と決める前の整理が大切

住まいは、知らないまま決めるものではなく、理解したうえで選ぶものです。

その違いが、未来の後悔を減らします。

 

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※本記事は一般的な不動産売却・税制の考え方を整理するものであり、個別の税額や税務判断を確定するものではありません。所有形態、取得時期、取得経緯、利用状況、減価償却、特例の適用可否等によって税務上の取扱いは異なります。具体的な申告・税額については税理士または所轄税務署等へご確認ください。

投資物件売却の判断に役立つ公的情報・参照先

国税庁「土地や建物を売ったとき」
長期譲渡所得・短期譲渡所得の所有期間判定と税率
 

国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
土地・建物の譲渡所得、取得費、譲渡費用の考え方
 

国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」
建物の取得費と減価償却費相当額の取扱い
 

国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」
仲介手数料、印紙税、立退料、建物取壊し費用などの取扱い
 

国土交通省「不動産鑑定評価基準」
収益還元法、純収益、還元利回りの考え方
 

国土交通省「不動産情報ライブラリ」
不動産取引価格、成約価格、地価公示などの公開情報